- 作者: 本岡類
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 1997/11
- メディア: 新書
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1997年刊行、書き下ろし。
『奥羽路 七冠王の殺人』(祥伝社 ノン・ノベル)で登場した水無瀬翔五段シリーズの第二作(続編があるとは知らなかった)。今回は女流名人が誘拐され、しかも殺人の容疑者となってしまうという衝撃の展開が続く。前作に引き続き将棋界を舞台とすることにより、探偵役である水無瀬を自然に登場させるようにしているのはさすがというか。将棋ファンである著者なので将棋界についての記述は確かだし、プロ棋士の読みの力を推理に生かそうとするところはなかなかうまいと思う。ただ、後半からのやや強引な捜査展開と、綱渡りのアリバイトリックはちょっと興醒めか。
将棋ファンでなくてもそれなりに楽しめるとは思うが、将棋ファンが登場人物のモデルを想像するのもまた一興。御影真理子女流名人は清水市代で、青山桜女流初段は高橋和かな。水無瀬は今ひとつわからない。探偵小説好きで、実力があるのに下のクラスでくすぶっているところは先崎学かなと思ったが。読んでも時間を損しなかった、という程度には面白かった。