- 作者: 月村了衛
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/05/09
- メディア: 文庫
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2010年3月、書き下ろし刊行。
人気脚本家によるデビュー作。話題になっているのは知っていたけれど、どちらかといえばSFよりっぽく見えたので、なんとなく手に取るのをひかえていたが、別作が面白かったので、読んでみることにした。
舞台は近未来で、警視庁特捜部SIPD(Special Investigators, Police Dragoon)に装備された新型機「龍機兵」をめぐる争いが中心。もっとも、機甲兵装同士の闘いよりも、取り巻く人物や事件の捜査の方が中心となっている。
搭乗員である姿俊之、ユーリ・オズノフ、ライザ・ラードナー。特捜部部長で元外務官僚でもある沖津旬一郎。理事官である城木貴彦と宮近浩二。特捜部捜査主任である由起谷志郎と夏川大悟。特捜部技術主任である鈴石緑。主要登場人物は一癖も二癖もある人物ばかりかと思ったら、意外とストレートな人物もいる。多種多様な人物を配置し、警視庁ばかりでなく、警察庁などの複雑な人間関係も見どころ。
どことなく『機動警察パトレイバー』に似ているな(といっても、漫画、アニメのどちらも見ていない)などと勝手に思いながら読んでいたが、近未来という舞台や、SIPDという特殊な組織、そして機甲兵装があることを除いたら、警察小説になっていることに驚き。組織同士の争いや駆け引きなど、ドロドロした部分は読み応え十分。
アニメを中心とした脚本で人気を馳せていたからか、どことなくアニメっぽさが感じられたし、最後の方は駆け足になっている点は気になったけれど、デビュー作なら合格点が付く出来だろう。次作に続くであろうという引きも悪くない。