平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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岩城裕明『牛家』(角川ホラー文庫)

牛家 (角川ホラー文庫)

牛家 (角川ホラー文庫)

ゴミ屋敷にはなんでもあるんだよ。ゴミ屋敷なめんな――特殊清掃員の俺は、ある一軒家の清掃をすることに、期間は2日。しかし、ゴミで溢れる屋内では、いてはならないモノが出現したり、掃除したはずが一晩で元に戻っていたり。しかも家では、病んだ妻が、赤子のビニール人形を食卓に並べる。これは夢か現実か――表題作ほか、狂おしいほど純粋な親子愛を切なく描く「瓶人」を収録した、衝撃の日本ホラー小説大賞佳作!(粗筋紹介より引用)
2014年、「牛家」で第21回日本ホラー小説大賞佳作受賞。書下ろし作品「瓶人(かめびと)」を加え、2014年11月、角川ホラー文庫より刊行。



ゴミ屋敷の特殊清掃人であるジンさん、コバ、ツネ君が遭遇する奇譚。それにコバの病んだ妻が関わる。前半はゴミ邸をうまく使ったホラーで、それからループ現象が起きるSF設定が加わり面白くなるかと思ったら、最後は纏りつかなくなって放棄した印象を受ける結末。迷宮に入るなら屋敷の部分に絞り、妻の部分はいらなかっただろう。結局何をやりたかったのか、わからない。描写のグロさはまだしも。

瓶人」は、母が甦らせたゾンビである父親と息子の物語。オチは分かりやすかったけれど、それでもこちらの方が面白かったかな。どうやって生活費を稼いでいたのかが分からないけれど。