平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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一路晃司『お初の繭』(角川ホラー文庫)

お初の繭 (角川ホラー文庫)

お初の繭 (角川ホラー文庫)

家計を助けるため12歳で製糸工場に働きに出ることになった少女・お初。被傭期間は3年。期間中は会社の命令に逆らうことはできない。身体検査や全裸になっての虫干しから始まった奇妙な工女生活は、予想に反し快適だったが、それもつかの間、次第に逃れられない恐怖の惨劇に変貌してゆく……。煮繭の臭いでむせ返る製糸工場にうごめく淫靡な恐怖を描く、とてつもなく怖いお伽噺。選考委員をうならせたホラー小説大賞受賞作。(粗筋紹介より引用)

2010年、第17回日本ホラー小説大賞受賞。応募時タイトル「あゝ人不着紬」、応募時名「ふりーくかな」。同年10月、単行本刊行。2012年9月、文庫化。



粗筋を読むと『あゝ野麦峠』に篠田節子『絹の変容』を混ぜたような内容。少しは新しい要素があるかと思ったら、全くなし。読者が思い浮かべたような内容がそのまま小説上で展開されていき、結末まで流される。おまけに「淫靡」じゃなく、「悪趣味」な展開も足されているし。これが作者の性癖だったら、と思うとその方がぞっとする(苦笑)。展開も内容も古くさい、つまらない小説。これはホラーじゃないでしょう。文庫本で選評は載っていないためわからないのだが、なぜこれを大賞に選んだのかが理解できない。褒めるところは、読みやすい文章ということぐらいか。戦前らしい時代背景に冷凍保存とか出てくるとか、ごちゃ混ぜになっているところも首をひねる。

男性のネーミングは、寒すぎて鳥肌が立ってくる。ここまで下ネタ満載にする理由がさっぱりわからない。タイトルからネタがバレバレだと思うのだが、なぜこんなタイトルに改題したのだろう。