- 作者: 似鳥鶏,toi8
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/08/30
- メディア: 文庫
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2009年8月、文庫書下ろし。
粗筋紹介にある通り、演劇部とストーカー撃退作戦を繰り広げる「第五話 ハムスターの騎士」。トリック自体はすぐに予想ついたが、曲がり角で美少女とぶつかるという超古典的シチュエーションの方に萌えた(笑)。
「第六話 ミッションS」は、モザイク消しの処理をしていたエロDVDを回収するために、職員室にあるシステム管理室の鍵をすり替える依頼を受けた葉山君の悪戦苦闘が描かれる。真相や動機が高校生らしいなと思いつつ、葉山君ってよほどの巻き込まれ体質なんだと妙に感心。
「第七話 春の日の不審な彼女」は、演劇部の出張公演に荷物持ちとしてつき合わされた葉山君が宿屋の自室で目を覚ますと、首のもげたマネキン人形がテーブルの上にあったという話。ドアも窓も鍵がかかっている、という密室のシチュエーション。トリックなどは簡単なものだが、どうしても葉山君と柳瀬さんと佐藤さんの三角関係?の方に目を取られがちで、あまり気にならない。上下二巻本のクライマックスとしてはなかなかの盛り上がりである。
「第八話 And I'd give the world」は、本編全体に隠されていた謎が明かされる話。なんだかんだ言っても、葉山君が物語の主人公なんだと思わせる。
「第九話 「よろしく」」はエピローグ。しっかり続編も書けますよ的な終わり方という気もするが、収まるところに収まるのは読んでいて気持ちいい。
まあ、ラノベだなと言ってしまえばそれまでだが、一創元推理文庫から出ているだけの仕掛けが一応はあることも事実。ベタとはいえラブコメもあるし、謎解きもある。何も無理して上下巻に分けなくても、という気はする。いやむしろ、一巻本にすべきじゃなかったか、これは。上巻のいくつかの話はいらないという気もするし。
下巻を読んで、もう少し付き合ってみてもいい、という気になってきた。まあ実際にはあと4冊ぐらい出ているわけだが。