- 作者: 笹本稜平
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2017/09/20
- メディア: 単行本
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『小説推理』2016年1月号〜2017年2月号連載。加筆訂正のうえ、2017年9月、刊行。
「越境捜査」シリーズ第6作。今回は首席監察官たちとの戦い。またまた警察官僚トップグループと向き合うという展開だが、相手側が妨害するわりには鷺沼の部屋を見張らないとか、何となく間が抜けていると思わせるのは毎度のこと。どこで彼らが集まり、どこで作戦を立てているかなんて、尾行すればわかることだし、こっそり鷺沼の部屋に盗聴器ぐらい仕掛けられないものかと思ってしまう。
今回は首席監察官とその周辺たちを追うことになるのだが、過去に色々便宜を図ってもらったとはいえ、強盗殺人事件についてここまで不自然に捜査を止めさせられることができるのかも疑問。自分にとばっちりが来ないよう、何らかの対策ぐらい立てそうなものだが。
このシリーズは、鷺沼たちの相手側がどうも間抜けに見えるのが欠点。もちろん相手が完璧だったら、吹けば飛ぶような鷺沼たちの立場だったらあっという間にどこかへ飛ばされたり消されたりするだろうから、作者としては仕方のないことなのだろうが、それにしてももう少しうまいやり方は無いのだろうか。
まあ、鷺沼と宮野のやり取りは読んでいて楽しいし、最後に一発大逆転というのもおなじみのパターンながら読者を満足させるやり方である。今回は最後にスッキリした終わりかったので、読後の感想としては満足。不満点は多々あるが、そういうものだと思ってあきらめて読めば、楽しめるというものだ。