平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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魔夜峰央『スピリチュアル漫画家!』(PHP研究所)

スピリチュアル漫画家!

スピリチュアル漫画家!

パタリロ!』などでおなじみ、近年は『翔んで埼玉』が評判になった魔夜峰央の自伝的エッセイ。生まれから、漫画家デビュー前、デビュー後、『パタリロ!』ヒット、低迷した「冬の時代」、『翔んで埼玉』復刻、大ヒットまでの作者の裏側には、不思議な力があった?

魔夜峰央といえば『パタリロ!』に尽きるのだが、ギャグ路線に代わる前の怪奇漫画も味わい深い。そしてこの頃の絵は、非常に緻密かつ繊細で、耽美だった。どうやったらこんな絵を描くことができたのだろうと不思議だった。さらに、こんな怪奇派がなぜギャグ路線に代わったのかも不思議だった。もっとも本書では、その辺はさらっと描かれているだけなのは残念。ただ、作者がいう通り、巡り合せだったということなのだろう。

作者の絵がどんどん崩れているのが残念なのだが、その理由も本書では書かれている。一つ一つの絵を描くだけでも相当な体力がいるということがわかった。それでも、せめてストーリーに力を入れてほしいなあ。

作品数が減っているなあ、と思っていたが、作者は本当に苦しかったらしく、若いころ趣味で集めていた宝石を次々に売って生活費に充てていた、というのはかなりショックな話であった(色々なインタビューでも語っているが)。

昔の作品が一部復刻されているようだが、やはり新作に力を入れてほしい。娘がマネージャーをやっている、とのことなので、まだまだ頑張らないといけないだろう。