平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』第32巻(講談社 マガジンコミックス)

イラン北東部でネアンデルタール人の化石が発掘された。契約では金を出したイギリスの研究者のものだが、イランの政府関係者は外国人による重要な遺物の持出しは禁止するという。最低のために森羅が呼ばれたが、頭蓋骨が保管されたはずの研究室から消失した。「灯火」。金庫からの消失トリックは小さいものだが、考古学に関する考え方が複雑に絡み合って興味深い。
クリスマスプレゼントでトランシーバを買ってもらった男の子。早速弟と公園で遊んでいたが、混信し、違法取引グループの一人の男と話し合うようになる。そんなある日、男が暴力をうけ、男の子は偶然知り合った森羅に助けを求める。「混信」。これもトリックとしては軽いが、内容は何ともいえず哀しいもの。友達は選ばないとだめだね、本当に。
新宿の洋品店のオートロックがかかった事務室で、店長が殺害された。開店前で、店の中にいたのは暗証番号を知るバイト店員の3名のみ。店長がいつもつけていた、量産品の邪視除けの首飾りが無くなっていた。「邪視除け」。証言から犯人を突き止める推理物。矛盾した発言から犯人がわかるというのは少々安易。
マウが大金持ちから依頼され、一緒に魔道書を探すことになった森羅と立樹。ところがマウの依頼人は実はマフィアで、内部抗争に巻き込まれるのを嫌がった森羅は早々に離脱。森羅の知り合いの本屋・トマスと一緒に手がかりに記されていた人物の廃城へ魔道書を探しに来たマウと立樹だったが。「魔道の書」。本巻ではベスト。ちょっと軽めだが、魔道書が隠されていた場所は面白い。