平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』第21巻(講談社 マガジンコミックス)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(21) (講談社コミックス月刊マガジン)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(21) (講談社コミックス月刊マガジン)

一人暮らしの老人が病死した。アメリカへ行っていた娘は、父親がなぜアメリカに来なかったのか、父が残した「ななせ湯」へ行ってみろという言葉に従う。「冬木さんの1日」。
日本有数の葦原グループより、妹の結婚に伴う財産分与の目録造りのため、森羅と立樹が呼ばれた。その妹には考古学者の恋人がいたが、1年前に琵琶湖で事故死していた。「湖底」。
"ブラックマーケットの魔女"マウが自分の店の日本支店を開いた。呼ばれた森羅は、マウが見せた美術品を盗品と見抜き、更にマウの行動から取引現場で捕まえる作戦を立てる。「エルフの扉」。
マルタ共和国に住む、聖ヨハネ騎士団の騎士を名乗る老人が、傷害事件で逮捕された。老人は取り調べで、自分の住む土地と「バレッタの燭台」を返還したいと申し出る。キリスト教国の英雄の燭台を手に入れようと、ドイツ・スペイン・フランス・イギリスが手を挙げた。「バレッタの燭台」。
「冬木さんの1日」は、老人の死の謎よりも冒頭のトランプの謎が面白かった。いわゆる日常の謎もの。「湖底」は大がかりなトリックが使われているが、果たして誰にも見咎められずにセッティングが可能なのだろうか。「エルフの扉」は事件そのものよりもマウの過去に焦点が当てられた作品。「バレッタの燭台」は本巻中のベスト。謎そのものよりも、後味の良い終わり方がうまい。