C.M.B.森羅博物館の事件目録(33) (講談社コミックス月刊マガジン)
- 作者: 加藤元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/10/17
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (3件) を見る
夫が泣き後、ゆっくり本を読むためにハワイに来た老婦人。泊まっていたホテルの部屋から、下のコテージで若夫婦の夫が妻を突き飛ばして倒れてしまったところを見てしまい、病院に電話する。しかし、一緒に来た警察は、妻などいなかったという。「いつかの文学全集」。これも小粒かな。トリック(と言えるほどのものではないが)はさすがに無理があると思った。
コンサルタント会社で社長のパソコンを使い、3000万円が不正に振り込まれ、消えていた。犯人は急に退職した社員か、部屋に残っていた割り箸をよく使う社員か、社長室の暗証番号を知っている経理職員か。しかし防犯カメラの映像から、社長室に入ったただ一人の社員が逮捕された。しかし彼は、無罪を主張している。「ツノゼミ」。事件自体は小粒だが、頭が良いと自称する社員とツノゼミを掛けたあたりは面白い。
小劇場で『リア王』の上演中、主役の団長の背中に矢が刺さり、殺害された。後ろには背景しかなく、不可能犯罪と思われた。過去の芝居で使った石弓を見つけた捜査一課の刑事は、横暴な団長に恨みを持つ劇団員が犯人と決め付けて拘留したが、同じ捜査一課の七夕菊乃は、舞台に上がっていた劇団員が石弓を使った遠隔操作で殺せるわけがないと、疑問を持つ。困った菊乃は、鯨崎主任より紹介された森羅に相談する。「見えない射手」。10月に発売された著者の小説『捕まえたもん勝ち!』の七夕菊乃が登場するコラボ作品。本巻の目玉と言える作品であり、舞台中の殺人という不可能犯罪、犯人逮捕時のアクションと色々取り揃えているが、犯人特定までの推理がもうちょっと欲しかったところ。せめて前後編にすれば、もうちょっと内容に厚みが膨らんだのではないだろうか。
さすがの作者も、小説執筆と重なり、ばてていたのか、今一つの作品が並んでいる。まあ、こういうときもあるだろう。