平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

沼田まほかる『ユリゴコロ』(双葉文庫)

ユリゴコロ (双葉文庫)

ユリゴコロ (双葉文庫)

ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか――。絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー! 各誌ミステリーランキングの上位に輝き、第14回大藪春彦賞を受賞した超話題作!(粗筋紹介より引用)

2011年3月、双葉社より単行本刊行。2012年、第14回大藪春彦賞受賞。2014年1月、文庫化。



2011年になぜか沼田まほかるブームが起きた。過去3冊の文庫本がいきなり売れ出した。正直言ってわからなかった。2005年のデビュー作である『九月が永遠に続けば』を私は大して評価していなかったからだ。それがなぜ売れるようになったのか。解説で本書の単行本が圧倒的に面白かったからだと書かれている。だからというわけではないが、それなりに期待して読んでみたのだが……うーん、微妙だった。

手記の内容はまあまあ面白かったのだが、これを簡単に信じるかなあ。一方の現実では、父は末期癌だし、経営する喫茶店が不調だし、婚約者は姿を消すし。普通だったら現実の世界の方に気を取られるんじゃないかな。なんかそんな違和感がずっと続いたまま読んでいたたため、あまり作品に没頭できなかった。

ちなみに手記の方だが、描かれている中身は結構残虐なのに、筆のせいか妙にほのぼのとしたところがあるのが不思議。しかしこんな殺人鬼に共感はできないな。しかも普通に暮らしているし。

うーん、読み終わってみても、どこが面白いのかさっぱりわからなかった。