- 作者: ハリー・クレッシング,一ノ瀬直二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1972/02/01
- メディア: 文庫
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1965年、ランダムハウス社より刊行。1972年2月、翻訳。
タイトルは知っていたけれど、当時それほど読む気は起きなかった一冊。いつの間にか新版が出ていたので、とりあえず購入した。
いわゆる「奇妙な味」物の作品。料理人コンラッドの料理と弁舌にヒル家や対立していたヴェイル家、さらに町の住人もいつの間にか囚われてしまうという話。コンラッドの正体は最後まで明かされないが、最後まで読まなくても大体は想像つく。それでもコンラッドの一挙手一投足に目を奪われてしまうのは不思議だ。そういう意味では私も彼に囚われてしまったのかも知れない。それにしてもエピローグの後はどうなったのか、非常に気になってしまう。
大人向けのグリム童話、という位置付けでいいのだろうか。単純なストーリーだが、いつの間にか惹かれてしまう作品である。
作者は著名作家の変名であり、正体は未だ明かされていない。ロアルド・ダール説が強いが、コンラッドと同様、全ては闇の中なんだろうなあと思う。