平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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筒井康隆『フェミニズム殺人事件』(集英社文庫)

南紀・産浜の高級リゾートホテル。待遇、料理が抜群で、選ばれた紳士淑女だけが宿泊できる。作家・石坂は執筆のため、このホテルに滞在した。夜ごとのディナーとお洒落な会話、滞在客は石坂の他5名。会社役員夫妻、美貌のキャリアウーマン、地元の名士、大学助教授だった。サロン的雰囲気、完全密室の中で、三人が次々と殺された―。奇妙なトリックの謎を解く、本格推理長編。(粗筋紹介より引用)

小説すばる」1989年夏季号・冬季号に掲載。1989年10月に単行本化。



食事のシーンは本当に美味しそうである。途中で交わされるフェミニズム論はわからないところがあるものの、会話のシーンもまた楽しい。

この作品の楽しさはここまで。高級リゾートホテルの中で3人が次々に殺され、しかも1件は完全密室。謎自体は魅力的なのだが、解決を聞くとかなりがっくりと来る。

作者の狙いは、事件の謎解き以外のところにあるのだろうが、ミステリファンとして「〜殺人事件」というタイトルが付いた作品をミステリ以外のものとして読むことは難しい。そういう目で読み終わった後の感想としては、つまらない、の一言で終わってしまう。

それ以上は、語る必要はないだろう。