- 作者: 中村光至
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1984/10
- メディア: 新書
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前作『捜査─北九州病院長バラバラ殺人事件』に続き、1984年10月に書き下ろされた警官小説第二弾。あくまで警察という組織を取り上げている小説ということもあってか、前作と共通する登場人物はいない……と思う。厳密に調べていないけれど。
本作では、1981年1月22日に発生した、替え玉保険金殺人事件を取り上げている。個人的には警察側の動きより、犯人側の心情を取り上げた方がより面白くなる事件だったのではないかと思う。本妻と愛人がともに犯人に協力した心情にスポットを当てたら、興味深い作品に仕上がったのではないかと思うのだが、九州で発生した有名事件を取り上げようという意図が多分あったのだろうから、仕方のないことか。
それにしてもこれだったら、たちばな出版から出ていた実録捜査シリーズの方が面白いんじゃないだろうか。そう思えるぐらい、警察の動きばかりを書いている。実際の動きをそのまま書いたって、当然ドラマティックになるわけでもないから、面白くも何ともない。まあ、それだからこそ有名事件を題材に取り上げているのだろうが、それだったら事件そのものを創作した方がより面白く書けると思うのだが。
実際の事件については、本書とほとんど変わらない。主犯は列車に飛び込み自殺。妻には懲役4年、愛人には懲役7年の実刑判決が言い渡されている。