- 作者: 飴村行
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2008/10/24
- メディア: 文庫
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第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。(粗筋紹介より引用)
2008年、第15回日本ホラー小説大賞の長編賞受賞作『粘膜人間の見る夢』を改題・改稿。2008年10月、角川ホラー文庫より刊行。
舞台はどうやら太平洋戦争あたり。巨体な小学生の弟を殺害する依頼先は河童の三兄弟。小学生対河童の血みどろの戦いが「第壱章 殺戮遊戯」。そして、殺人の依頼の報酬として勝手に差し出された清美が、徴兵を拒否して行方不明になった兄の居所を捜す憲兵によって幻覚剤「髑髏」を飲まされるのが「第弐章 虐殺幻視」。脳を半分失って記憶も失くした雷太は、行方不明になった二人の弟を捜す河童三兄弟の長兄モモ太に助けられ、森に棲むキチタロウに脳と記憶を取り戻す方法を教えられる。モモ太と雷太は友人である鉄砲持ちのベカやんを殺し、鉄砲を奪って村に行き、新鮮なガキの脳みそを手に入れるのが「第参章 怪童咆哮」。
戦時中の世界観に民話や妖怪の世界が混じり合う不思議な空間。登場人物(人物じゃないのもいるな)は皆身勝手でおかしなところがあるし、繰り広げられる物語は異様だし、ある意味支離滅裂でもあるのだが、圧倒的なパワーは本物。そのせいで、残虐なシーンは寒気がするし、拷問シーンはおぞましい。グロやスプラッタが好きな人にはたまらないでしょうね。正直言ってこの手の描写は苦手なのだが、それでも読むのを止められない、麻薬みたいな妖しさがある長編。
選考委員は、この作品の受賞や出版によく賛成したものだ。そのことに関しては素直に感心した。