平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『ポコニャン』(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集 ポコニャン

藤子・F・不二雄大全集 ポコニャン

藤子・F・不二雄大全集第3期第2回配本の一冊。不思議な能力の持ち主であるポコニャンが、仲良しである太郎の夢を次々と叶えていく物語。『希望の友』1975年4月号〜1978年5月号掲載作品と、『ようじえほん』1970年7月号〜1974年1月号まで掲載された「ぽこにゃん」も収録。
確か藤子不二雄ランドでは収録されていない話があったように記憶しているので、これが初の完全収録版になるのかな。カラー原稿はカラーのままで収録されているのも嬉しい。
タヌキかネコかわからない不思議な生物、ポコニャンが登場。出会いこそ後に描かれるものの、ポコニャンがどこから来てどんな生物なのかは全く描かれていない。連載当初からすでにポコニャンは太郎の友達で、太郎の両親や友達もその存在を不思議に思わず、日常に溶け込んでいる。半年前から連載が始まった『ドラえもん』が当初はナンセンスなドタバタギャグ作品であったことと比較すると、本作は純粋に子供の夢を具現化した作品に仕上がっており、藤子Fがのって描いていたのはむしろこっちだったのではと思わせる。マニア誌であった『希望の友』連載ということもあり、認知度は他の作品と比べて低かったと思われるのが残念。
解説は当時の編集者であった浮田信行。『ポコニャン』だけでなく『T・Pぼん』連載当時の話を聞かせてくれる。さらに嬉しいのは、藤子A『パーマンの指定席』についても触れてくれたこと。やっぱり当時の編集者の証言は貴重である。