平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『てぶくろてっちゃん』第1巻(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集 てぶくろてっちゃん 1

藤子・F・不二雄大全集 てぶくろてっちゃん 1

藤子・F・不二雄大全集第2期第7回配本の一冊。なんでも作ることができる不思議なてぶくろを持つてっちゃん、ようこちゃんによる楽しい日常生活やちょっとした冒険を描いた作品。『すすめロボケット』とともに1963年、第8回小学館漫画賞を受賞した、藤子Fの初期代表作。『たのしい一年生』1960年4月号〜1961年3月号、『たのしい二年生』1961年4月号〜10月号掲載分を収録。
初期の代表作であり、藤子Fの紹介文にはよく掲載されている作品ながら、一度も単行本化されていなかった幻の作品がついにまとめられた。カラーも当然のように再現。なぜこの作品が今まで本にならなかったのかは不思議だが、やはり作者本人の意向だったと思われる。こうして読んでみると、せめてこの作品ぐらいは単行本にしたほうがよかったんじゃないの、と思うぐらい面白いし、小さな子供がいたら薦めたい。『漫画少年』の精神をずっと実践し続けてきたのはやはり藤子Fなんだと思ってしまう。
それにしても、途中からは小学館専属に近い形だった藤子Fが、講談社の学習雑誌に連載されていた作品で小学館漫画賞を受賞するというのも、たまたまではあろうがすこし不思議な巡り合せである。
解説は丸山昭トキワ荘関連では欠かせない編集者であるが、藤子両者との付き合いはあまりない。正直書かれている内容もあまり面白くなかった。