平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

高田郁『小夜しぐれ みをつくし料理帖』(ハルキ文庫)

小夜しぐれ (みをつくし料理帖)

小夜しぐれ (みをつくし料理帖)

季節が春から夏へと移ろい始める如月のある日。日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。果たして、美緒の縁談の相手とは!?――(第三話『小夜しぐれ』)。表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾!!(粗筋紹介より引用)

2011年3月、書き下ろし。



人気シリーズの最新作。種市とおつるの過去が明かされる「迷い蟹――浅蜊のお神酒蒸し」。楼主伝右衛門からの依頼で、翁屋における花見の宴の料理を作る「夢宵桜――菜の花尽くし」。美緒の縁談話と恋の決着、そして佐兵衛の生存が描かれる「小夜しぐれ――寿ぎ膳」。「嘉祥」の儀式にて城内で出す新たな菓子について思案する御膳奉行小野寺数馬の悩みを描いた「嘉祥――ひとくち宝珠」。

過去の巻では描かれなかった話が明かされたり、澪を取り巻く恋模様に石が投じられたりと、シリーズの転換期になりそうな一巻。思わずお腹が鳴ってしまいそうな料理の描写は相変わらずだし、澪の傷ついた指がどうなるかも気がかりだし、と相変わらずの上手い引きについページが進んでしまう。

意外と速いペースで巻が進んでいる。次作が楽しみなのだが、作者ものって書いているのだろう。そろそろNHKあたりでドラマ化しそうだが。