![花だより みをつくし料理帖 特別巻 花だより みをつくし料理帖 特別巻](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51kPmDeFxML._SL160_.jpg)
- 作者: ?田郁
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2018/09/02
- メディア: 文庫
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書下ろしで2018年9月、刊行。
74歳になった種市は境内で倒れていた水原東西と名乗る大坂の易者から、来年の桜を見ることが叶わないと言われて落ち込む。大坂にいる澪に会いたいと、坂村堂、清右衛門と一緒に大坂へ向かう。「花だより」。
17歳で17も年上の小野寺数馬に嫁いで、はや六年。悠馬という嫡男にも恵まれた
大坂に戻り、唐小間物を扱う「高麗橋淡路屋」を再建した野江であったが、大坂には「女名前禁止」という掟があり、家持ちにも店主にもなれない。慣習として三年の猶予が摂津屋のおかげで認められていたが、今年がその期限だった。前の番頭の息子で、今の店の番頭である辰蔵を婿にするように勧められる野江であったが、野江にはかつて命を助けてくれた又次のことがあった。「秋燕」。
大坂で「みをつくし」の店を出して4年。家主が流行り病で亡くなり、息子は苦しんだ親父を思い出すから売ってしまうので出てほしいという。そんなとき、源斉が疲れから倒れてしまう。源斉の食は進まず、身体はなかなかよくならない。「月の船を漕ぐ」。
すぐに出るかと思ったら、4年も待つとは思わなかった。作中でも4年後の話を取り扱っているのは、あえて合わせたからか。それとも4年という月日がその後を語るのにちょうどよい年月であったからか。
既にハッピーエンドとなった作品の後日譚であるが、私はこういう作品群が好き。いつまでもダラダラと続けられるのは嫌だが、登場人物たちのその後というのはやはり気になるところである。
野江の過去のように本編では語られなかった部分も新たになるなど、単なる後日譚にとどまらないところもいい。読んでいて、ほんわかしてくるのが、この作者の真骨頂。じんわりと幸せが染みてくる。
みをつくし料理帖は、本巻が最後。残念ではあるが、さすがにこれ以上続けるのは難しいだろうし、妥当なところか。本当に面白い作品を書いてくれてありがとう。作者にお礼を言いたい。と言いながら、今のところ他のシリーズを読む気が起きないのだが。