- 作者: ポールギャリコ,Paul Gallico,山田蘭
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1999/08
- メディア: 文庫
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1959年、「サタデー・イヴニング・ポスト」誌に連載。1960年、イギリスで刊行。1999年8月、本邦初訳。
帯に「ギャリコ唯一の本格ミステリ」と書かれているのだが、そもそもギャリコって誰?というところから始まった。先に巻末リストを見たのだが『ポセイドン・アドベンチャー」』ぐらいしかわからず、それも映画でやっていたな、程度の知識しかない。だからどんな作風なのかということも全く知らないまま読んでみたんだが、普通の本格ミステリだったからかえって拍子抜け。まあ、他の作品を知っていれば、そのギャップに驚いていたのかもしれないけれど。
週刊誌に掲載されたせいか、頻繁に事件が起きるのは少々うるさい気もするが、それを除けば英国風ユーモアを楽しめる作品ではないだろうか。税金に苦しんだ貴族の生活なども楽しめるし、貴族の館や当時の人物描写も面白い。アレグザンダー・ヒーローの心霊探偵という設定もなかなかだが、それ以上によいのは、継妹であるカメラマンのメグ。この手の女性、作品に登場する分としては好み。複数の幽霊事件を丁寧に解決していく展開も好感が持てるもの。なぜ作者はこの探偵コンビをシリーズ化しなかったのだろう。もったいない。
それほど期待していなかったが、意外と面白かった拾い物。