- 作者: 似鳥鶏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/10/31
- メディア: 文庫
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2006年、本作で第16回鮎川哲也賞佳作受賞。加筆修正のうえ、2007年10月、文庫オリジナルでデビュー。
高校を舞台に高校生たちが幽霊騒動の謎を解く本格ミステリ。内容的にはライトノベルと言ってもよく、現実の殺人事件が起きるわけでもないので、それほど深刻な内容とはならないが、犯人当ての方は論理的な謎解きが展開される。どうやって幽霊が現れたか自体は機械的なトリックが使われていることが見え見えなので、正直言ってそれほど興味がない。やはりなぜの部分の方に興味の重点を置いてしまうが、こちらは結構うまくやっていたと思う。言われてみればあっと思う内容だし、特に最初の幽霊の謎の理由なんて、なぜ思いつかなかったんだろうというぐらいの内容だった。高校生らしさが出ていて、よく描けている。
応募時は30歳に手が届きそうな主人公が、学校が解体されるという話を聞き、当時を回想するというストーリーだったというが、確かにこの内容だったら回想する理由はほとんどない。残念ながら佳作止まりだったとしても仕方がない。それを抜きにしても、どうしても軽めの内容だから、受賞は難しかっただろうが、最初からこの形だったらどうなっていたかわからない。
創元らしからぬカラーの作品だが、イラストもそれっぽくしており、売れてシリーズ化されたのもわかる気がする。もうちょっと恋愛がらみの話を混ぜてほしかった気はするけれど。