平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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エドマンド・クリスピン『愛は血を流して横たわる』(国書刊行会 世界探偵小説全集5)

愛は血を流して横たわる 世界探偵小説全集(5)

愛は血を流して横たわる 世界探偵小説全集(5)

美しい女子生徒の失踪、化学実験室の盗難事件と終業式を前にあいつぐ不祥事に校長は頭を悩ませていた。しかし、終業式前夜、この学園の小さなミステリは、突如として教員の二重殺人事件へと発展した。来賓として居合わせたオックスフォード大学の名探偵ジャーヴァス・フェン教授は協力を請われ、さっそく事件現場へ急行、酸鼻な犯行に目を見張った。さらに翌日、郊外のあばら家で第三の死体が発見され、事件はますます混迷の度を深めていった……。連続殺人、失蹟事件、シェイクスピア原稿の謎と、息もつがせぬ展開の底に流れる不気味なユーモア、錯綜する論理と巧みなサスペンス。ポスト黄金時代を代表する本格派クリスピンの最高傑作。(粗筋紹介より引用)

1948年、発表。1995年、翻訳。



私が英国のドタバタ風本格ミステリを嫌いになった原因である、クリスピンの代表作……らしい。私が嫌いになったのは、シェイクスピアなどの英国文学や演劇が絡みまくる展開が多い点もあるのだが、やはり英国風ユーモアが全く理解できない点が大きいだろう。ビブリオミステリ自体は嫌いじゃないんだが。

本作はそこまでドタバタしているわけではないものの、やっぱりシェイクスピアが絡むのか、と少々引き気味に読んでみた。そういう読み方をしていたら、駄目だね。全く楽しめなかった。

本作は英国の学校が舞台。学校が舞台な作品は何作も読んでいるが、未だに学校のルールが理解できない。本作は教師たちが主な登場人物だから、まだ読めたが。

連続殺人で、犯人が不明、動機も不明、アリバイがある、などと本格ミステリファンなら喜びそうな設定である、とだけは言っておこう。

ちなみにタイトルだが、元々は"Love Lies Bleeding"。このLoveは登場人物の姓であり、「愛」が絡むわけではない。実際、作中の章題では「ラブは血を流して横たわる」となっている。このような邦題にした理由は、訳者があとがきで書いているのだが、やはりピンと来ないことも事実。

これでようやく、国書刊行会の世界探偵小説全集第I期全10巻を読み終わった。買ってから20年が経っているじゃないか。何をやっているんだか、私は。第II期〜第IV期もまだ読んでいない本がたくさんあるんだよねえ(苦笑)。本棚がパンクして、泣きそうですよ、本当に。