平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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久住四季『トリックスターズC PART2』(メディアワークス 電撃文庫)

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

ついに現れる“魔術師の大敵”第三室長フィラメル・スピノーヴァ。彼もクロウリーの影を追い事件へ介入していく。スピノーヴァに底知れぬ脅威を感じた周は、事件を自分が望む形へ解決しようと動く。かくして、いかに相手より早く真相に到達するか、二人の緊迫の攻防が始まった。

捜査側を嘲笑うかのように、次々と置かれていく犯行声明。迷宮化していく犯人像、その動機。犯人は本当にクロウリーなのか!?

その真相に到達したとき、魔術師の“最後”の物語は始まる。トリックスターズシリーズ、ついに完結!(粗筋紹介より引用)

推理小説を模った現代の魔術師の物語」、トリックスターズシリーズ第5作PART2、完結編。今回の“C”は、Close & ContinueのC。今回初めて、表紙の人物のモデルが明かされた。



それぞれの思惑を秘めつつ、結末へ進む物語。なんせ物語の記述者が“騙り手”だから、どれが本当の結末なのか、騙されないようにするのに苦労した。

事件の謎の方については、今までと同様肩すかしな部分が多い。とはいえ、謎を解くことに主眼をおいている作品ではないので、そのことについては別に弱点とはならない。本シリーズでは謎に隠された真の目的を表にすることに、重点が置かれている。これはあくまで、魔術師の物語なのだ。

物語はここで完結する。新たに開かれた扉の向こうにはなにがあるのか。様々な謎を秘めたまま、新しい扉が読者を迎えてくれる。