- 作者: 大薮春彦
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1985/07
- メディア: 文庫
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1981年10月、徳間書店より刊行。1700枚の大作、第1巻。
石川克也は、宝石店を経営する両親と妹がいたが、店の支配人に殺されるというつらい過去を持っている。祖父がスカンディナヴィア出身の船員だったため、体格は素晴らしい。父が進駐軍に出入りしていたことから、中学から克也も米軍基地に出入りして射撃を楽しんでいた。今でも米軍関係に知り合いや友人が多い。
今まで様々な社会の腐敗を書いてきた大藪であったが、この作品で取り上げたのは医療業界の腐敗。ここに書かれていることがどこまで真実なのかかはわからないが、それほど外れてはいないだろう。荒廃を生々しく書くとともに、業界の隙間をくぐり抜けて注文を得るとともに、少なからぬ大金を得ていく石川の行動力が素晴らしい。
石川はガンとドライビングの名手であるが、今までの作品にあるような暴力的なシーンはまだ登場しない。これは大藪にとって珍しいことといえる。第一部、まだまだ