川原泉『レナード現象には理由がある』（白泉社 ジェッツコミックス）

レナード現象には理由がある (ジェッツコミックス)

県下でも指折りの、全国でも有数の超・進学校、私立彰英高校を舞台に繰り広げられる四つの恋？物語。「レナード現象には理由がある」「ドングリにもほどがある」「あの子の背中に羽がある」「真面目な人には裏がある」の四編を収録。
久しぶりの川原教授の新刊は、原点に戻ったかのような川原流恋物語。もっともこの人の場合、恋愛ものというよりも、生き方のパートナーを見つけるといった意味合いが強い。それにこの人の漫画で、ラブシーンを見たことがないしな。
昔ほどではないにしろ、長文のモノローグで語られる独特の調子と哲学的な論理展開は相変わらず。漫画のなかで語るような境地に達することは難しいが、なんとなくその気にさせられてしまうのもいつものこと。読んでいるといかに難しく考えずに生きることができるかを教えられてしまう。もちろん、その通りに実行することは難しいが。
相も変わらずの寡作ぶりだが、この人はこれぐらいのペースがちょうどいい。時たま読んでほっとする、それが彼女の作品である。
どうでもいいが、『笑う大天使』の制服を実際の映像で見ると、不気味なものがあるな。