- 作者: 大薮春彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1979/03
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
今回の信原は、エージェントものと私立探偵ものの中間に位置する主人公という位置づけになる。小さい頃の戦争体験が書かれるのは、この手の主人公にしては珍しい。ただ、その頃の影を背負っているわけではないので、必要な描写だったかどうか、やや疑問が残る。
舞台は香港、そしてモナコへと飛ぶ。後の作品と比べると、街並みや酒、料理、女などの描写が淡泊である。肩慣らしというか、海外を舞台にしたエージェントものが受け入れられるかを試しているというか、とりあえず読者の反応を窺ってみようという感じの作品である。