平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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山口県光市母子殺人事件の上告審判決は、二審判決破棄、差し戻し

最高裁無期懲役を破棄し「死刑相当」としたのは、連続4人射殺事件の永山則夫元死刑囚と、広島独居女性殺害事件の西山省三被告(二審死刑判決、上告中)だけである。
二審での情状酌量の対象をことごとく否定し、「元少年の責任は誠に重大で、特に酌むべき事情がない限り死刑を選択するほかない」とまで言い切ってしまえば、次の二審判決は死刑になる可能性が高い。西山被告の場合を当てはめてみると、次の二審判決が約4〜5年後。最高裁判決がさらに約3年後。7〜8年後になるね、死刑が確定するのは。もっとも今回の差し戻し判決は、近年の「厳罰化」傾向が強く後押しした面もあるので、もし「厳罰化」傾向が和らいだり、少年犯罪に対する見方が変わるようであれば、もう一度無期懲役判決が出る可能性もある……それはないか。
差し戻しするのではなく、自ら死刑判決を出してほしかったという本村さんの気持ちもわかるけれどね。さすがの最高裁も、そこまで度胸はないでしょう。二審無期懲役判決を破棄して、自判で死刑を言い渡した例はあるんだろうか。逆の例は2件だけあるそうだが。
もう一つ、この裁判で注目したいのは、最高裁判決が出る直前になって、被告が反省する手紙を出したこと。裁判を有利にする戦術かも知れないが、無期懲役判決がひっくり返され、死刑判決が出る可能性が高まり、初めて被告も自らの犯行を直視することができたのだと思いたい。ここに「死刑」という刑についての意義が改めて発生したと考えることができる。「死」を直視することで初めて反省する気持ちになった。逆を言えば、「無期懲役」では自らの罪の重さを知ることができなかったということにもなる。
今後、この裁判がどうなるかわからない。しかし、色々な意味で、死刑存廃論議に一石を投じた判決となりそうだ。死刑廃止論者は、巻き返しを図るだろうけれどね。色々なキャンペーンで。
ところで、安田・足立両弁護士が裁判を欠席した件で、被害者遺族が日弁連に処分を求める文書を送ったはずなのだが、全く回答はなかったのかな。まあ、日弁連も弱者の味方とは限らないからな。