平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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久住四季『トリックスターズD』(メディアワークス 電撃文庫)

トリックスターズD (電撃文庫)

トリックスターズD (電撃文庫)

城翠大学の一大イベント、3日連続の学園祭、その一日目。周と凛々子は異常な閉鎖空間の中に閉じ込められていた。すっぽりと闇のようなものに覆われてしまった講義棟。その中で、脱出するすべを探し、あがく周たち。この状況がどうやら魔術によるものであり、さらに周たちの中に魔術師の息がかかった裏切り者がいるらしいことが判明する。それが、それぞれの疑心暗鬼を招くことになり…。招かれざる客“D”が来たりしとき、逃げ場のないその空間は恐怖と緊張で満たされる。魔術師と“D”の物語、登場。(粗筋紹介より引用)

推理小説(ミステリ)(かたど)った現代の魔術師の物語”『トリックスターズ』第3作。



順調に出ているシリーズ三作目。今回は学園祭が舞台。一応学生ものなんだよなと思わせる出だしである。ただ今回は閉ざされた空間を舞台にした割に、登場人物の書き分けが下手(一部意図的ではあったのだろうが)でごちゃごちゃしている。しかも、事件の結末は早い時点でほぼ予想できる。そのせいか、読んでいても面白さを感じることがなかった。読んでいて苦痛だったな、今回は。第1作の一部ネタばらしは勿体ない。ここでやることではなかったと思う。

言ってしまえば、シリーズものを続けていると一度は手を染めてしまう悪トリックものである、今回の作品は。このトリックを成立させるためには、かなりの実力と力業が要求されるが、到達するまでにはまだ力が足りなかったようだ。とにかく、次回は復調してほしいものだ。

もっとも、この感想は、例のトリックが好きになれない私だからこう書いてしまった感があるのは否定できない。好きな人は好きなんだろうな。