- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/04/25
- メディア: コミック
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藤子・FのSF短編には傑作が多いけれど、この巻に収録された作品は特に傑作ぞろい。掲載誌が『マンガ少年』(朝日ソノラマ)というマニア誌であったためか、内容もやや辛口だが様々な工夫を凝らしたアイディアが盛り込まれている。作者が書いている通り、「好きなものを描いた」作品群であることは間違いない。漫画かとしての年齢とキャリアを重ねるにつれ、多くの漫画家が青年漫画、大人漫画へ移行していったが、唯一といっていいぐらい児童漫画を描き続けてきた作者がちょっとばかり年齢層の高い、そして批判精神とブラックな部分を込めた作品を気ままに描いてみた、というところであろうか。『モジャ公』を見てもわかる通り、ちょっとしたブラックさもこの人の持ち味だとは思うのだが、学習雑誌ではそれも難しかったのだろう(もしくはそういう味を見せないと自らに規していたか)。そして藤子・Fが生まれ育った『漫画少年』と同じ名前の雑誌に掲載されているという点も、作者が力を入れた要因の一つであることは間違いない。
何度読んでも読み飽きない傑作群がここにある。