平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ホリー・ジャクソン『受験生は謎解きに向かない』(創元推理文庫)

 高校生のピップにある招待状が届いた。高校卒業および大学受験に必要な試験のひとつが終わった6月末、友人宅で架空の殺人事件の犯人当てゲームが開催されるという。舞台は1924年の孤島に建つ大富豪の館という設定だ。参加者は同級生とその兄の7人。ゲーム開始早々、館の主が心臓を刺されて殺されているのが発見される。試験後に着手すべき自由研究が気になり、当初は乗り気でなかったピップは、次第に夢中になり、主の姪に扮してゲームを進めていく。ピップの明快な推理を堪能できる、爽やかで楽しい『自由研究には向かない殺人』前日譚!(粗筋紹介より引用)
 2021年発表。2024年1月、邦訳刊行。

 帯にもある通り、『自由研究には向かない殺人』3部作の前日譚。3部作に登場する面々が本作にも出てくるが、この頃はまだみんな笑っていたのね、と考えるとちょっと悲しくなってしまう。
 ピップの推理を楽しむ作品だが、結末まで読むとなんとなくこの先を暗示しているような終わり方。いや、前日譚だから当たり前なんだけど。
 一応この作品だけでも読むことはできるだろうが、やはり3部作を読んでいた方が楽しめる。ページ数も少ないし、シリーズのボーナストラックだと思った方が早いだろう。