平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ジェイムズ・エルロイ『LAコンフィデンシャル』(文春文庫)

 悪の坩堝のような50年代のロサンジェルス市警に生きる三人の警官――幼時のトラウマから女に対する暴力を異常に憎むホワイト、辣腕警視だった父をもち、屈折した上昇志向の権化エクスリー、麻薬課勤務をいいことに芸能界や三流ジャーナリズムに食指を伸ばすヴィンセンズ。そこへ彼らの人生を大きく左右する三つの大事件が…。(上巻粗筋紹介より引用)
 事件その1、“血塗られたクリスマス”。署内のパーティで酔った刑事たちが勾留中の容疑者に集団暴行! 事件その2、コーヒー・ショップ“ナイト・アウル”で虐殺事件発生! 事件その3、複数の余罪を暗示する、あまりにもどぎつい変態ポルノ写真の犯濫! 事件1、2で明暗をわけた三人は、それぞれのやり方で悪の中枢へと近づいてゆく。(下巻粗筋紹介より引用)
 1990年、発表。1995年10月、邦訳単行本刊行。1997年11月、文庫化。

 

 エルロイの「暗黒のL.A.」4部作の第三作。三人の警官を主人公に、1950年代の暗黒のロサンゼルスを駆け抜ける。
 表面は別として、裏はこんなにひどいのかと嘆きたくなるような社会。こんなに警察が黒かったら、秩序なんてどこにもなかったのだろうかと思ってしまう。いや、苦手なんだよ、こういう世界は。暴力と金とドラッグとセックスがはびこる作品は。ここに上昇志向があればまだ楽しめたんだけど、それもかなり屈折しているからなあ。
 ということで、きつかった。評判は良かったので読んでみたけれど、きつかった。たぶんこういう感想になるとは思っていたけれど、やっぱりだった。これ以上、書けない。