もちろんサラだって、自分が入社したのがゴシップ新聞社なのは知っていた。けれど、彼女が目撃した他殺死体の話がボツにされ、かわりにポテトチップ・ダイエット法を取材させらえるとは――殺人なんてそっちのけ、イカレた業界でオカシな取材に東奔西走する女新米記者の活躍やいかに? 鬼才がそのエンターテイナーぶりを存分に発揮した超オモシロイ最新作。(粗筋紹介より引用)
1988年、発表。1991年2月、邦訳刊行。
久しぶりにウェストレイクの本を手に取った。それにしても、カバーと内容が全然一致しない。
主人公のサラ・ジョスリンといい、上司のジャック・インガーソルといい、どっかぶっ飛んでいる。そりゃゴシップ紙とトンデモネタがメインテーマだから当然と言えば当然なんだが。それでもここまで暴走する、という展開が面白いんだが、ちょっと胃もたれしたかな。ドタバタというよりも悪乗りという表現のほうがあっているか。作者も好き放題やっているなあ、という印象を持った。
内容はとんでもないけれど、生活描写がやけにリアルなのには笑えた。主人公なのにここまで突き放す作者というのも笑っちゃうというか。いや、本当、作者がやりたい放題。サラとジャックの関係性も変化も楽しいし。二人の暴走からの逆転劇を楽しみゃいいというのはわかるんだけどね。記事ごとに小分けした構成も連絡短編集ぽくって面白かったし。
エンターテイメントに徹した作品という印象。作者、書いていて楽しかっただろうなあ。