平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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連城三紀彦『流れ星と遊んだころ』(双葉文庫)

流れ星と遊んだころ (双葉文庫)

流れ星と遊んだころ (双葉文庫)

 

  傲岸不遜な大スター「花ジン」こと花村陣四郎に隷属させられているマネージャーの北上梁一は、ある夜、一組の男女と出会う。秋場という男の放つ危険な魅力に惚れこんだ梁一は、彼をスターにすることを決意。その恋人である鈴子も巻きこみ、花ジンから大作映画の主役を奪い取ろうと画策する。芸能界の裏側を掻い潜りながら着実に階段を上る三人だが、やがてそれぞれの思惑と愛憎が絡みあい、事態は思わぬ展開をみせる――。虚々実々の駆け引きと二重三重の嘘、二転三転のどんでん返しが、めくるめく騙しの迷宮に読者を誘う技巧派ミステリの傑作。(粗筋紹介より引用)
 『小説推理』1997年6月号~1998年6月号連載。2003年5月、双葉社より単行本刊行。2014年2月、文庫化。

 

 連城らしい、凝った作品だなというのが読み終わったときの感想。主な登場人物は北上梁一、秋葉一郎、柴田鈴子の三人。華やかな芸能界の裏側にある、虚々実々な駆け引き。映画界の新たなスター誕生に隠された真実。
 これがなんとも読みにくかった。いや、文章自体はうまいんだけど、登場人物が嘘つきばかりで騙しあっている。さらに一人称になったり三人称になったりと入れ替わる意図が最後になるまでわからなかった。終盤になって思わずあっと叫んでしまい、さらに騙されてしまうのは、作者ならではの巧みさだろう。ただ、個人的にはちょっと苦手。
 なんか、芸能界という虚構の輝きを、さらに嘘で塗り固めて仕上げた作品。ちょっと回転させると変わってしまう万華鏡のような作品。ただ、作者の技巧を知っていないと、鬱陶しいと思ってしまうんじゃないかとも思ってしまった。