平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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東野圭吾『沈黙のパレード』(文藝春秋)

沈黙のパレード

沈黙のパレード

 

 突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は? アリバイトリックは? 超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める。(粗筋紹介より引用)
 2018年10月、書き下ろし刊行。ガリレオシリーズ第9作。

 

 久しぶりとなるガリレオシリーズ。湯川はアメリカ帰りという設定にすることで、今までの隙間を埋める形となっている。
 読んでいて思うのは、東野圭吾ってあざといなって。正直言って、こういうパターンで来るだろうな、なんて思いながら読めてしまうところがあるんだけど、それでも結局読み進めてしまう面白さがそこにある。そのくせ、いやになるくらいひっくり返し続けるところもある。単純にハッピーにならないところも、嫌らしい。それでも読んでしまうんだよな。
 正直言っちゃうと、被害者の女性がああいう形だったのもどうかと思ってしまうわけで。なんか、読んでいる人を嫌な思いにさせちゃうな、というか。
 トリック自体は面白かったかな。確かにこれで謎が面白くないと、ただの気持ち悪い作品になってしまう。
 なんだかんだ言っても、キャラクターの関係性を少しずつ触れながら書き進める展開も、嫌らしいと思いつつ、うまいなあと思ってしまうわけで。なんかテクニックだけで書いている気もしつつ、それでも面白く読めてしまうんだから、すごいなあとは思った。