- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。(粗筋紹介より引用)
2005年、第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。応募時タイトル『チーム・バチスタの崩壊』。加筆のうえ、2006年2月、単行本刊行。
人気作家、人気シリーズのデビュー作を読むというのは何を今頃という感もあるが、手に取ったのが今頃なのだから仕方がない。
よくよく考えてみると見え見えのトリックが使われているのだが、終盤近くになるまで全く想像だにしなかった。ということは、作者の術中にはまっていたのか。リーダビリティもあるし、キャラクターの色付けも抜群。登場人物の描き分けもできているし、言うことないだろう。現役医師らしい問題点の指摘も悪くない。医学的な内容がやや説明口調になっている部分もあるが、それは些細なこと。結末まで楽しめましたよ、本当に。
これで、結末がもう少し意外性のあるものだったら、傑作といえたと思う。残念ながら、最後はあまりにもパターン化された終わり方だった。一番肝心なところでトーンダウンしてしまったところが、非常にもったいない。動機なんかも、もう少し違ったものが欲しい。無いものねだりかもしれないが、序中盤がよかった分、お見事といえるラストが読みたかった。
まあ、新人の作品にそこまでの完成度を求めるのは酷だろう。面白かったことに間違いはないのだから。ただ、白鳥というキャラクター、二作目を読みたいと思わせるキャラクターじゃないよな。もう少し後味がよいキャラクターに仕立ててほしかった。