- 作者: 岡田秀文
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/10/18
- メディア: 単行本
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2013年10月、書き下ろし刊行。
今まで時代ミステリを書いてきた作者が、明治を舞台とした本格ミステリを書いてきた。舞台は伊藤博文邸で、当然のことながら歴史上の人物も続々登場。まさかの密室殺人で、館ミステリである。
舞台が舞台なので、当時の明治の状況や風景が詳しく書かれている。どうしてもそちらの方に目を捕らわれがちで、肝心の殺人事件の方の謎については今一つ、盛り上がらない。解決を聞かされてもトリックの方はつまらないもので、むしろ動機の方が明治時代らしく面白い。作者は本格ミステリを書きたかったのか、明治という部隊を書きたかったのかは今一つだが、前者だったら残念ながら失敗だったと言えよう。もっと謎にインパクトがあるものが欲しかった。
時代ミステリだとアッと言わせるものを書いているのに、なぜここまでつまらなく終わってしまったか。そこに明治時代を書く難しさがあると思う。奔放さがかき消される時代が、明治時代なのだろう。