平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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汀こるもの『パラダイス・クローズド THANATOS』(講談社文庫)

パラダイス・クローズド THANATOS (講談社文庫)

パラダイス・クローズド THANATOS (講談社文庫)

周囲の人間に不審な死をもたらす「死神(タナトス)体質」の兄・美樹(よしき)と、発生した事件を解決する「探偵体質」の弟・真樹(まさき)。変わり者のミステリー作家が孤島に建てた館・水鱗館(すいりんかん)に向かった二人は、案の定(’’’)、不可解な密室殺人事件に遭遇する。双子の少年と新米刑事が活躍する人気シリーズの第一作。第37回メフィスト賞受賞。(粗筋紹介より引用)

2007年、第37回メフィスト賞受賞。2008年1月、講談社ノベルスより刊行。2011年2月、文庫化。



メフィスト賞受賞作で、後に続くTHANATOSシリーズの第1作。THANATOSとはギリシア神話に出てくる死を司る神のこと。

登場人物の細かい背景があまり語られないまま物語が進むのには参った。そのくせ、主人公たちのキャラクターが濃くて、アンバランス。どう考えても不要と思われる魚の蘊蓄が長すぎ。ネットスラングの多用はどうでもいい。本格ミステリのセオリーを逆手にとった展開。動機もトリックも無視した解決。作者いったい何をやりたかったんだろう。本格ミステリのお約束を打ち破りたかったのだろうか。今時ノックスの十戒とか出てくる時点で萎えるけれど。まあ、今までにない解決方法という気がするけれど、インパクトに欠けているのは残念。キャラクターに頼りすぎて、迫力のある文章が書けていないせいだろう。

感想をいくつか見てみると、人を選ぶ作品であるということ。そして、二作目以降に繋がる伏線もあるので、二作目以降を読んでから判断してほしいとのこと。悪いけれど、二作目以降を読もうという気力が沸かない。