- 作者: 逢坂剛
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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「いそがしい世間師」「痩せる女」「弦の嘆き」「八里の寝床」「弔いはおれがする」の5編を収録。『小説新潮』1998年〜2001年掲載。2001年8月、単行本刊行。
主人公の「俺」は、詐欺師。各作品で会社も名前も違うのだから、シリーズとわからず雑誌で読むと、何が何だかわからないところがあったんだろうなあ。
ユーモアを含んだコンゲームものだが、はっきり言って犯罪じゃないか、という部分もあるので、必ずしも全編が爽快感を得られるわけではない。まあ、作者もその辺は十分わかっているし、男と女の騙し騙されを楽しむ作品だから、気軽に読めばいいと思う。
やられた、と思うのは「痩せる女」。融資を得るために女が15kgダイエットの挑戦を受けるものだが、まさかそこでそれを持ってきますか。
いい話かと思ったら、最後はそう流れるの、みたいな「八里の寝床」。地上げ屋から依頼され、唯一居残っている居酒屋を追い出そうとする話だが、最後は見事逆転。それにしても男がちょっと可哀想。
「弔いはおれがする」は、男が世話になった組長の香典を遙が盗んだので、取り返す話。単行本の最後らしく、ドンパチ派手な作品。さすがに盛り上げ所を知っている。
いくつもの顔を持つ逢坂剛だが、こういう作品もあると知って驚く人もいたのではないか。それにしても、厚すぎる長編や時代物ばかりでなく、こういう路線ももっと書いてほしいものだが。