- 作者: 逢坂剛
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/11/05
- メディア: 単行本
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『小説すばる』2014年3月号〜2015年10月号連載。加筆修正のうえ、2015年11月、刊行。
2002年の『ノスリの巣』以来、13年ぶりの百舌シリーズ新作(個人的には公安官シリーズと呼びたいのだが)。テレビや映画の『MOZU』の影響だろうと思うのだが、百舌シリーズは『よみがえる百舌』で終わらせておくべきだったと思っているので、この新刊はかなり複雑な気分。
再び「百舌」が登場するのだが、当然別人。倉木美希、大杉、残間といったレギュラーキャラクターに、過去に出てきた(んだっけ、覚えていない)政治家などが再び登場。どうしても過去作品の使いまわしとしか思えず、出版社からの要請なんだろうが、読み終わって残念な気分になる。
さすがに逢坂の筆なので、読んでいて退屈ということは無いが、だからといって素直に楽しめるかと言われたらかなり複雑。そもそも、なぜ最初っから手にかけないのか、お前、と「百舌」に言いたくなるのだが。時々思うのだが、なぜ美希や大杉を生かしておくのだ、彼らは。いくらでも抹殺可能だったろうにと思ってしまう。
不正武器輸出に絡み、警視庁生活安全部生活経済特捜隊にいる東房めぐみが新たに登場。めぐみは大杉の娘で、『百舌の叫ぶ夜』にも出てくるのだが、巡査部長として登場するのは初めて。同じく捜査員の車田聖士郎といっしょに、今後話が続くようだったらレギュラー化するつもりだろうか。
13年ぶりに書かれるせいか、過去の事件や因縁などはていねいに描かれているため、久しぶりに読んでも割と早く当時のことを思い出しながら読むことができた。だからといって、書く必要があったかどうかはかなり疑問。しかも“次”がある終わり方になっているし。そのせいか、盛り上がりに欠けたまま終わっている。いや、もういいでしょう、本当に。