![傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4) 傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51ck4enZjBL._SL160_.jpg)
- 作者: ピエール・ルメートル,橘明美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/10/07
- メディア: 文庫
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2012年、発表。2015年、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞受賞。2016年10月、邦訳刊行。
『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』に続くカミーユ警部シリーズ最終作。時系列的には、『悲しみのイレーヌ』で愛妻イレーヌを亡くしてから5年後、『その女アレックス』直後となる。
あのカミーユに恋人ができたということでよかったねと思っていたら、強盗事件に巻き込まれる。しかも犯人に付け狙われるという展開。事件はわずか3日間だが、衝撃的な展開が続く。何もここまでカミーユをいじめなくても、と作者を批判したくなった。
今回はデッドリミットのサスペンス要素が強く、事件の背景は過去の作品と比べるとわかりやすい。それでもシリーズで読んでいるせいか、あっと言わされてしまうのは、作者の筆の巧さだろう。
本作はカミーユの暴走ぶりがひどく、ルネの活躍が今ひとつだったのが残念。アルマンは既に癌で亡くなっているし。過去の登場人物が密接に絡む点も有り、本作品については前作、前々作を読んでいないと、面白さが半減してしまう。本作を書くために、『悲しみのイレーヌ』を書いたんじゃないだろうかと思うぐらいである。その点を除いたら、十分に楽しむことができた。シリーズ最終作にふさわしい力作。それにしても最後は泣けるなあ。