
- 作者: クレイグライス,Craig Rice,森英俊
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1995/06
- メディア: 単行本
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1942年発表。1995年6月、翻訳。
クレイグ・ライスが別名義で発表した作品。有名ストリッパーのジプシー・ローズ・リーの代作をしていたことは知っていたが、このマイケル・ヴェニングは知らなかった。そのためか、マローン弁護士ものにあるようなドタバタやユーモアは相当控えめである。
単純に言えば、パーティーに招待されていた人のほとんどを脅迫していた人物がベッドで死んでいるが、発見した人物はそれぞれ事情を抱えているため黙っている、という話。まあオチが読めるサスペンスだが文章や人間ドラマが巧みだから読めるなあ、程度かと思ったら、最後に見事ひっくり返される。さすが巧者、ライス。
地味と言えば地味だが、読み終わってみれば巧いなあ、と唸ってしまう作品。時間ごとに章を設け、語り手を次々と変えていく構成も巧妙。驚くようなトリックがあるわけでもなく、ぞっとするような恐怖もないし、ドキドキするような展開もないが、それでも目を離せなくなる筆遣いは見事としか言いようがない。今読むとやや古い、という印象を持つ人がいるかもしれないが、それでも読んで損はない。