- 作者: 大沢在昌
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/08/13
- メディア: 新書
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2011年6月、ハードカバーで刊行。2012年、日本冒険小説協会大賞受賞。2013年8月、ノベルス化。
鮫島がベテランの売人、露崎と接触するところから物語は始まる。警官を殺すと、拳銃を探す男。男が持ち出した暴力団は、15年も前に潰れたところだった。そして週刊誌の記者が鮫島へ、晶にクスリ絡みの内定が入っていることを知らせる。鮫島の捜査は徐々に核心に迫り、男の標的は鮫島の上司である新宿署安全衛生課課長の桃井であった。
真壁、間野や香田との関係にけりがつき、本作では鮫島の最大の理解者である晶と桃井との関係に一つの終止符が訪れる。それにしても、「絆回廊」とは絶妙なネーミングだ。
「絆」と言えば、新宿に帰ってきた樫原茂と、バー「松毬」の笠置との関係も、奇妙なものだ。薄いつながりでありながらも、ここまで深く相手を想う関係という描写が実にうまい。本作品は色々な「絆」が絡み合い、最後の感動までつながっていく。
大沢在昌ってやっぱりうまいなあと思わせる傑作。さて、次の作品はどうなるのだろう。