平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『Q.E.D.―証明終了―』第49巻(講談社 マガジンコミックス)

マカオの新カジノホテルをめぐる香港マフィアの争いで、一方の首領が銃殺される。ところが、撃ったと思われる方向は行き止まりで、犯人は誰もいない。そして東京で、カジノホテル建設を狙っていた日本の建設会社の海外担当者がもう片方の組織を脅迫して返り討ちにあった。ところがその現場を、アルバイトをしていた学生2人が見てしまう。当然追われる2人。「無関係な事件」。

45年前の学生時代に作りかけた自主映画を完成させようと、当時のヒロインにそっくりな可菜を偶然見かけた夫婦が最後の撮影シーンを依頼する。そして2か月後、完成しないまま監督の夫が亡くなってしまった。いったい夫は、ラブストーリーにどのような思いを込めていたのか。可菜はすべての撮影素材を燈馬に預け、映画を完成させようとする。「ラブストーリー」。

2編とも書下ろしだが、出版ペースは変わらない。それでこのクオリティを続けていくのは大変だろうに。ただ、どっちも推理の冴え、という意味では今一つ。「無関係な事件」は不可能事件の謎解きこそあるけれど、どちらかといえば交渉人としての燈馬が主。「ラブストーリー」は推理すらない人情話。とはいえ、読む分にはどちらも面白いのだから困ってしまう。この漫画には、謎解きの面白さを求めたいんだけどなあ。