平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』第27巻(講談社 マガジンコミックス)

宝石の装飾が付いたアンティークが好きなコレクター・金剛虎目が殺害された。凶器はアステカ人の犠牲式用のナイフ。容疑者として第一発見者で、離婚した元妻の紅玉瑠璃が逮捕される。コレクションを整理して慈善活動の基金を作ろうとしていたので、息子に渡るはずの遺産が減ると反対していた。動機も機会もある。困った息子の紅玉鉄男は、森羅に母を助けて欲しいと依頼する。「アステカのナイフ」。

世界的家電メーカーが企画した夏休み大恐竜展に爆破予告が届く。残り時間は2時間半。しかし脅迫犯は、何も要求してこない。犯人の目的は。「爆破予告」。

ネットゲーム配信会社社長が会社に帰ってくると、社長室から経理部長の殺人死体が出てくる。鍵を持っているのは社長自身。留守中に誰も入っていないのは、受付が見ている。状況は極めて不利だが、社長は弁護士と一緒に行動していた。その日の来客は、社長と因縁がある3人。「幸運」。

経理ミスにより、残り3日間で50万ドルを銀行に入れないと倒産してしまうマウ美術商。現金が入る仕事ということで探し出したのが、大財閥が第二次世界大戦時にアメリカに没収された日本人の屋敷の美術品の鑑定。ところが依頼者は、この美術品を受け取った曾祖父が一度だけ見たという「大入道の屏風」を見つけ出してほしいと依頼を変えた。報酬は100万ドル。時間までにマウは屏風を探し出すことができるか。「大入道の屏風」。

殺人事件の真相を探る話が2本。「アステカのナイフ」は、最重要容疑者は背が低く、長身の被害者の喉をさせないだろういう観点からの推理が見どころといえば見どころ。もうちょっとひねりがほしかったか。「幸運」はどちらかといえば人情話に近い。もっとも容疑者の社長には立場もあるだろうし、アリバイも探せばすぐにわかるだろうから、勾留するとは思えない、なんていっちゃダメなんだろうなあ。

今回一番面白かったのは「大入道の屏風」。いっそのこと、マウ主人公単独で1冊出しませんか?