- 作者: ボアロー,ナルスジャック,Boileau,Narcejac,北村太郎
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1996/07
- メディア: 文庫
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1952年、フランスで刊行。1955年、早川書房で邦訳化。1996年7月、文庫化。
フランス・ミステリ界の大御所であったボアロー、ナルスジャックの第1作。既にミステリを書いていたピエール・ボワローとトーマ・ナルスジャックの共同執筆ネームであり、「処女作」という書き方は当てはまらない。1955年にはアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督によって映画化されて世界的に知られている。映画がシャロン・ストーン主演で1996年にリメイクされたことから、40年以上たって文庫化されて簡単に読むことができるようになった。逆に言うと、これだけの古典を簡単に読むことができなかったというのは、非常に残念な話でもある。ということで文庫本が出てすぐに買ったんだけど、結局読むのは今頃だったりする。
「サスペンス小説不朽の名作」と書かれているぐらい歴史的な作品であるが、今読むと古臭いイメージがあることは否めない。登場人物は5人だけで、主要人物は夫と妻と愛人しかいない。今の作品から見るとシンプルすぎるくらいシンプルだし、ひねりがあるわけでもないからオチも見えやすい。それでも読み進めてしまうのは、フランスミステリの甘い香りが流れているからだろうか。
今更という人がいるかもしれないが、ミステリという文学の流れを知りたい人には一度は手に取ってほしい作品。シンプルだからこそ、見えるものがここにある。