平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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風間賢二 『ホラー小説大全』(双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集第93巻)

文学の発生と同時に存在していたのが、恐怖の物語である。そこからいかにしてホラー小説がジャンルとして確立されたのか。西欧ホラー小説の系譜をたどり、その特性を考察する。さらに、近代が生んだ三大モンスター、フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男を論じ、究極のモダンホラー・ベスト100を選出。ホラー小説の本質と魅力を語り尽くす。(粗筋紹介より引用)
1997年7月、<角川選書>の一冊として書下ろし刊行。1998年、第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門受賞。

ホラー小説の歴史とベスト100を載せた入門書兼ガイドブック。日本でようやくホラー小説の芽が伸びてきたところに出版されたということもあり、当時は結構重宝されたと聞いている。日本ホラー小説(というより怪談、怪奇小説か)が無いのは残念だが、当時の状況を考えると仕方の無いことか。

個人的なことをいえば、ゴシック・ロマンスの系統についてはほとんど知識がなく、かつ読んでも興味が湧かなかった。あくまで歴史的な流れを書く方に専念しており、どう面白いかという部分についての工夫が無かったのは残念(まあ、ページ数の問題だろうけれど)。

三大モンスターはドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男。藤子不二雄A『怪物くん』を読んでいればおなじみ(って違う……違わないか)。狼男の代表的な作品が無いということには少々びっくりした。

残念なのはインデックスがなかったこと。あるとないのとでは、便利さが全然違う。やっぱり小説や作者から逆引きしたいことも多いし。それに、どうせ出すなら角川ホラー文庫から出ていた増補改訂版を出すか、さらに増補してもらった方が良かった。