平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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笹本稜平『逆流 越境捜査』(双葉社)

逆流 越境捜査

逆流 越境捜査

十年前の死体遺棄事件を追っていた鷺沼が暴漢に刺された。
入院した鷺沼に宮野は警視庁管内で起きたが事件化されていない殺人事件があることを告げる。現場は現・財務副大臣を務める木暮参議院議員の旧宅で、死体遺棄事件との関連があるように見えた……。10年前の死体遺棄事件と、12年前に消えた死体。二人の失踪の背後に隠れる謎とは。

警視庁で未解決事件を捜査する鷺沼と、神奈川県警のはみだし刑事の宮野が活躍する、累計20万部突破の『越境捜査』シリーズ最新刊。 (一部データサービスより引用)

『小説推理』2012年7月号〜2013年7月号連載に大幅加筆修正。2014年3月刊行。



おなじみのシリーズ第4弾。ナンバリングがなぜか消えたが。今度の捜査対象は財務副大臣。冒頭から鷺沼が刺されて入院するし、宮野たちの捜査も決め手に欠ける。挙げ句の果てに昇進までちらつかされる始末。終わりのページに近づくと、もうどうにもならなくなっちゃった状態。毎度の事ながらどうなるかと思ったら、こちらも毎度のごとくわずかなページで一気に終わらせてしまう呆気ない展開。まあ、最後で一応派手なシーンがあるのは、少しでもエンディングに動きを付けようとした結果なのかも知れない。

テンポの良い展開と、ユーモアあふれるやり取りは健在。鷺沼に憧れ、鷺沼の警護に就いていた碑文谷警察署の山中彩香が仲間に加わり、華やかさが増した。だからこそ、ページ配分をもっと考えてほしいんだよなあ、とは毎回言っていることである。

既に第5弾が連載中。2年振りのシリーズ新刊ということで、加筆修正に結構時間を掛けたのだと思われるが、それだったらエンディングにもっとページを費やしてほしい。