平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』第23巻(講談社 マガジンコミックス)

倒産した美術専門出版社社長より、天才左官職人杏次郎の最高傑作である幻の4枚目の鏝絵について調査してほしいと依頼される。鏝絵はすでに焼失し、調べようとしたものは次々に事故や不幸に襲われるという。「4枚目の鏝絵」。
12月30日、商店街の店へ厚焼き卵を買いに来た森羅と立樹。開店は午後4時からだったが、待っていた友人が無理やりあけてしまう。中の部屋は荒れていて、メモ帳には「たすけて」の跡が残っていた。「足摺厚焼き卵店」。
取引禁止の動植物を売買する密売組織を摘発した警視庁。1週間前、裏切り者カルロの死体が東京湾に沈められるという電話があったからだった。しかしカルロの死体はなく、カルロの血痕とダミー人形のみが遺されていた。容疑者3人はいずれも殺人を否定する。「Nobody」。
登校したら、グラウンドは水浸し。一方、野球好きなのに退部させられた一部の部員たち。いずれも、春の甲子園21世紀枠を狙う野球部監督の仕業だった。「グラウンド」。
日常の謎といわゆる事件の双方が交互に並べられる本シリーズ。せっかくの指環を生かす展開がなかなかないのは残念。もうちょっとスケールの大きい事件を扱わせてほしいところだが、毎回そればかりなのも胡散臭くなるから仕方がないところか。今回一番面白かったのは「4枚目の鏝絵」。単に鏝絵を知ったのが初めてだった、というのが大きな理由だが。