平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『Q.E.D.―証明終了―』第45巻(講談社 マガジンコミックス)

都内の学生アパートで殺人事件が発生。部屋は密室状態で、合鍵を持っていた恋人が逮捕された。凶器のバットは部屋の近くに捨てられ、発生時刻に近所で車を運転したことも目撃されており、金の貸し借りに絡む動機もあった。しかし容疑者は犯行を否認。東京地検の陽垣検察官は、笹塚刑事からの紹介で燈馬に調査を依頼する。「金星」。
学園屈指の美少女である1年生・新都辺と付き合い始めた2年生の古巴。新都辺は3年生の牛津、剣橋に付きまとわれていた。古巴が新都辺を家に誘った日、ベランダには袋に入った死体があった。慌てて新都辺を帰し、顔を確認するとそれは牛津だった。最初は屋上からの飛び降り自殺かと思われたが、古巴の部屋は7階で上の部屋のベランダが邪魔になる。新都辺の証言で古巴の疑いは晴れたが、交際がばれてなかなか会えなくなった。古巴は燈馬に事件の解決を依頼する。「初恋」。
今回はどちらもフーダニット作品で、トリックも仕掛けられている。穴がないこともないが、どちらもシンプルでかつ効果的な仕掛けが施されており、読んでいて面白い。投馬が単なる推理マシンになっているのは少々残念だが、「金星」では女性の檜垣検察官が燈馬を見て顔を赤らめてるのを不信に思う可菜といった、ちょっとした人間模様も描かれているのは楽しい。殺人が安易に行われているのは気になるところだが、作品そのものははどちらも満足。