- 作者: 醍醐麻沙夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1991/10
- メディア: 単行本
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1991年、第9回サントリーミステリー大賞佳作受賞作。1991年10月刊行。
作者は大学卒業後ブラジルへ移住。第1回サンパウロ新聞文学賞を受賞。1974年、「『銀座』と南十字星」で第45回オール讀物新人賞受賞。1975年には『夜の標的』で下半期直木賞候補となっており、すでにアマゾンの釣り小説やミステリの著書を何冊も出版していた。
ということで、すでに何冊もミステリを書いている作家が改めて応募してきた作品であったが、読んでみるとよくありがちがな2時間ドラマミステリ。濡れ衣を着せられた主人公が、心を通わせている被害者の妻や頼れる仲間たちと一緒に事件の謎を追いかける話。最有力容疑者なのに、絵里子と会って情を通わせるなどの軽率な行動は有り得ないと思うし、犯人と被害者の関係ぐらいもっと早く見つけられるんじゃないのとも思ったが、気が付いたら警察が仲間になっているようなご都合主義な部分がなかったのは好感が持てる。
一応開かれた密室状態の殺人事件だが、謎そのものはそれほど面白いものではなく、やはり人間関係のドラマが中心。文章も展開も手慣れた感じの描き方なので、プロの作品をそのまま読まされているとしか思えなかった。退屈はしなかったが、公募でアマチュアらしい情熱が感じられないのはやはりマイナス。良くも悪くもベテランの作品だった。
1992年6月にはテレビ朝日の土曜ワイド劇場でドラマ化されている。主演は三浦友和と佳奈晃子。それにしてもタイトルが「南紀釣り人殺人事件」ってのはどうにかしてほしかった。
サンミス読破もマジック7(感想を書いていないのが他に3作品)。既刊分の協会賞全集を読み終わるのとどっちが早いか。